赤ブー中心に同人誌即売会の2024年上半期を振り返ってみるよ

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いつもお世話になっております。あのアレどこ管理人の仲村です。

昨年末に2023年の振り返り記事を書いたときに「年間まとめは大変だ」と実感したので、簡易的ではありますが半期振り返りをやってみようと思います。

また本題の前に2点だけ、皆様にご協力をお願いいたします。

ご協力のお願い

令和6年能登半島地震の支援のお願い

最初に私事ではありますが、令和6年1月1日に発生した能登半島地震に被災しました。

私は現在石川県を生活拠点としており、地震当日は富山で震度5強を受けました。幸いなことに、生活拠点やインフラに致命的な被害はなく、発生直後からこれまでとさほど変わらない生活ができています。

しかし発生から半年たった現在でも、避難生活をしている人がいたり、避難民を受け入れるために自分の生活を大きく変えた人がいたり、甚大な被害を受けた地域に住み続けている人々を日常的に耳目にしている状況です。

被災地で以前と同じ生活ができるまで、まだまだ長い時間がかかることが予想されます。どうか皆様には継続的なご支援をお願いいたします。

金銭的援助以外にも、現地の情報に関心をもってもらえるとありがたいです。

特に、震源地となった珠洲市に拠点を構える印刷会社「スズトウシャドウ印刷」様は、被災地から現地の状況を伝え、復興応援企画など精力的に活動されています。よろしければSNSアカウントのフォローをお願いいたします。

あのアレどこの運営方針について

6月に公開したJUNE BRIDE FES 2024 サークル集計記事を公開した当初は、集計データに大きなミスがあり、当該のジャンル・サークル様には大変失礼いたしました。

その後、記事は修正し訂正投稿を各SNSにて行いましたが、その際に「元になっている投稿は削除しないのか」とご指摘いただきました。

弊サイトの運営方針として、現在は「訂正情報が上書き周知されるには、各人が訂正のアナウンスや個別記事を確認してもらう必要があり、その場合SNS投稿を削除すると大半は情報元に遡る機会をなくしてしまうのでかえって訂正の機会を失う」と考えているため、これらの理由では「投稿の削除はしない」という方針です。ご了承ください。

(例外として、公開して数分~1時間ほどのごく短期間に発覚した場合は、削除からの再投稿を行うケースはあります)

この点に関しては長年の検討課題としており、状況に応じて異なる対応を取ることもあるかもしれません。また、まず集計者起因のミスを減らすことが第一の回避方法として、継続的な改善に取り組んでまいります。

皆様には、ご理解とご協力をいただけますと幸いです。

赤ブーブー通信社イベント 2024年上半期動向

ここからは上半期のサークル動向です。以降のデータは、注釈がない限り中止・振替になったイベント分は含んでいません。

(なお、この項目の前提となる基礎用語などは2023年のまとめ記事にしているので、よければご確認ください)

2024年上半期の赤ブー主催はイベント開催日数9日(8イベント)、総参加サークルは76,914サークルでした。

イベント日程別のサークル数は下記です。5月スパコミは開催日でグラフ棒が分わかれています。

赤ブーブー通信社イベント 規模推移(1~6月上半期分)グラフ図

次に開催地別のイベントです。上半期は福岡での開催はありませんでした。

開催地域 開催日数 サークル数
東京 6 63,125
大阪 3 13,789
福岡 0 開催なし

イベント別のサークル数推移

次に、本サイトにて取得した、2015年から2024年までの上半期開催イベントのサークル数をグラフ化しました。

赤ブーブー通信社イベント 規模推移(1~6月上半期分)グラフ図

近年の動向を説明すると、2019年には東京オリンピックに起因する会場問題でイレギュラーな開催形態が続き、更にCOVID-19の流行した2020年以降はイベント数・サークル数ともに激減。その後は徐々に増加傾向にありますが、平常開催が行えていた2017年~2018年の規模には現在も届いていません。

次に、上半期の主要イベントの参加サークル数の推移を記載します。

1月月COMIC CITY 大阪

1月COMIC CITY 大阪のサークル数推移グラフ図

HARU COMIC CITY

HARU COMIC CITYのサークル数推移グラフ図

SUPER COMIC CITY東京

5月スパコミ東京のサークル数推移グラフ図

※2020年は関西開催&中止、2021年は開催中止のため記録なし。

1月大阪とHARUコミは前年から増加傾向にありますが、5月スパコミは前年から減少しました。

開催中止やコロナ渦以外では、ほぼ常に1日1万サークル、2日合計2万サークルを超える国内第2位のイベントのスパコミ東京ですが、2024年では1日目が約7千サークル(2日目は1万サークル超)と平時より大きめに減らしています。

次に上記以外のイベント合計の数値です。今年大きな話題になった6月の「JUNE BRIDE FES.2024」もここに含まれます。

赤ブー1~6月 1月大阪3月HARU5月SCC以外サークル数推移グラフ図

所感:スパコミの減少、投票型イベントの拡大

ここからは筆者の主観による内容です。

2022年以降の主要イベントは基本的に右肩上がりでしたが、今年のスパコミが前年比減となったことに驚きました。

サークル傾向を見ていくと、特に少年誌系やアニメ原作が配置された1日目の減少幅が大きいのですが、同日は多数のオンリーイベントが開催されており、近年のオンリー重視傾向を鑑みても減少する要因はないように思えます。

仮説ではありますが、ほぼ1か月後の開催で、1日2万サークルを超える最大級のイベントとなった「JUNE BRIDE FES.2024」への参加のため、スパコミ参加を控える動向があったのでは? と考えています。

サークル参加者の観点では、1か月とは準備期間としては短く「2イベントあるならどちらかに集中しよう」と考えうるタイミングです。もしそういった理由で偏重が生じたのであれば、サークル参加者の中で「大型オールジャンルイベントよりも、投票型イベントを重視する」といった兆候が生まれているのかもしれません。

2023年のまとめ記事で記載した通り、現在の赤ブーイベントのサークル動向を分析するには、オンリーイベントやプチオンリーといった要因を考慮しないことには流行を掴むのは難しいと感じています。

そこにさらに投票型イベントという新たな変化要因が台頭し、これからまた流行分析が複雑になっていくのかもしれないな、と感じています。

なお、今後の投票型イベントは分散開催が告知されており、1回あたりのサークル規模は今回のJBF2024ほどにはならないと予想しています。それでも大規模オールジャンルを超える人気が生じるのか、今後も注目していきたいと思います。

本年2024年6月開催の投票イベントにおきましては、想定を大幅に上回る参加申込をいただき、急遽会場を拡大して募集継続しております。
しかしながら、今回12月はこれ以上の会場拡大ができないため、参加を希望される多くの皆様に、スペースをご用意できないおそれがあります。
このため、より多くの皆様に安心してご参加いただけるよう、投票対象イベントを、本年12月と来年2月の2回開催に変更させていただきます。

(引用元・1月7日大阪実施カップリング投票:対象イベント日程追加のお知らせ

国内イベントの動向について

ここからは赤ブーイベント以外の同人イベントの動向にも触れていきたいと思います。

1枚目は今回集計した上半期分の年次推移、2枚目は昨年集計した通年の年次推移のグラフです。

 

グラフの通り、赤ブー全体としては2024年上半期とは、2018年以前の水準に届いておらず下半期の開催予定を鑑みてもおそらくは「前年よりは増加しているが、2018年以前にはまだ少し届かない」に着地すると思われます。これは2023年の傾向と同じです。

赤ブー以外に視点を向けると、コミックマーケットでも同様の傾向にあると感じています。

コミックマーケット年表「参加者数の推移」2024年6月30日時点

(グラフ出典・コミックマーケット年表「参加者数の推移」2024年6月30日時点

この記事を書いている時点で、2024年内は夏冬コミケともに2日開催であることが開示されました。ビッグサイトの増床を考慮しても1回分のサークル数はおそらく2万サークル台となり、2019年以前の規模より下回ると思われます。

2019年のC96・C97では、会場に大きな制限がある中で3万サークル規模を維持するために4日開催を行っていたことを鑑みると、2024年のサークル申込数は落選を含めてもCOVID-19流行以前の水準に戻っていないのではないかと推測しています。

上記を踏まえると、コミケと赤ブーという国内の2大同人イベントにおいては、COVID-19の流行に伴う行動制限の爪痕はまだまだ大きいように感じています。

さらに今後について、昨年末の記事でも触れたとおり2025年~2026年の東京ビッグサイトは再び東館の利用ができなくなります。

C103からついに会場の大規模改修工事が始まりました。C103とC104は会議棟が使用できません。2024年冬のC105は工事と工事の間で全ての施設が使用可能ですが、2025年のC106とC107は東1~3ホールが、2026年のC108とC109は東4~6ホールが使用できません。準備会としては2024年のコミケットの開催を行いつつ、2025年~26年にコミケットをどう開催していくか、今から検討の準備が始まっています。

(引用元・コミックマーケット103アフターレポート

コミケ・赤ブーともに以前のサークル規模に戻るのは、会場問題も相まって数年先になる可能性もあるかもしれません。

一方、国内最大のオリジナル限定同人誌即売会のコミティアでは、行動制限以前のサークル規模に戻った報告がされています

参加サークル数は5065サークルで、4年半ぶりに5000の大台になったこともあり、会場内は終日大賑わい。
(出典元・COMITIA148 アフターレポート

また、2024年は新たにビッグサイト開催を行う同人誌即売会が複数発生しました。

以上のように、活況が戻りきらないイベントもあれば、活況が戻りつつあるイベントもあり、さらに全く別のところで新たに急拡大するイベントと、2024年の同人誌即売会は複雑な状況にあると感じています。

そのほか振り返り

ここではサークル動向によらない同人イベントの動向を紹介します。

コミックマーケットのサークル参加費用の値下げ

最初にコミックマーケットの話題です。これは2023年からの傾向ですが、コミックマーケットへのサークル参加制度が大きく改善されています。

少し前までコミックマーケットにオンラインでサークル申し込みをするだけで1万円を超える費用が必要でしたが、現在はトータルで8000円/1SPと大きく値下げが行われました。

(表の出展元:コミックマーケット103サークル申込と参加費等改訂のお知らせ

同じビッグサイト開催の赤ブー・6500円、コミティア・6900円、コミック1・6200円で参加可能と思うとまだ高価格ではあるのですが、改訂前の価格差と比べれば、筆者はこの値下げにはかなりのインパクトを感じました。

このほかにも、以前のコミケではオンライン申込であっても冊子版サークル参加申込書セットの現物をあらかじめ手にいれる必要があったのですが、改訂によりPDF版も選べるようになり申し込みが完全オンライン化されるなど、参加のための緩和施策が複数行われています。

これらの改訂について、コミックマーケット運営よりメッセージが公表されています。

コミケットという場を未来に向けて継続していくために、コミケットは新しく「表現すること」に踏み出す若い参加者にとっても、コロナ禍で一時参加をお休みされていたサークルの皆さんにとっても、参加しやすい場であり続けたいと思っています。今般のサークル参加費などの見直しも、そうした想いに基づくものです。

(引用元・コミックマーケット103サークル申込と参加費等改訂のお知らせ

これらの施策が今後どのような影響を与えるかは未知数ですが、これまで比較的参加ハードルの高かったコミックマーケットの印象が、今後は変わるかもしれないなと思いここで紹介します。

ガタケットと赤ブーブー通信社の共同開催イベント

新潟県の同人誌即売会「ガタケット」に、赤ブーブー通信社が協力した併催オンリーが3月から開始しています。

赤ブーイベントでもおなじみのイベント名で、ガタケット内でもオンリーイベントが開催されています。

これらのサークス参加には、ガタケットへのサークル申し込みではなく、赤ブーブー通信社の「b2-online」からサークル参加申し込みが可能です。部分的にではありますが、赤ブー利用者は同じアカウントで別イベントに参加することが可能になりました。

「共同の参加申し込みシステム」としては、コミックマーケット・コミティア・コミック1などが同アカウントで申込可能な「Circle.ms」がありますが、私が確認した限りでは赤ブーブー通信社もガタケットも独自の申し込みシステムを採用していました。

所感ですが、長く運営を続けるイベントが、開催協力という形でシステムを共有し、さらに現在大きな影響力を持つオンリーイベントの名義貸しを行うのは、非常に興味深い施策に思います。今後も長期的に継続されるのか観察を続けたいと思います。

終わりに

2023年末の記事では「年明けに新たな記事を公開する」と宣言したのですが、年明け早々に被災し、直接的な被害こそ多くはなかったものの、近しい地域の甚大な被害を前になかなか執筆できない心象の時期が続きました。

最近は多少なりとも自分の中で落ち着きを取り戻し、本記事を執筆した次第です。しかし、前述のとおりまだまだ被災地では困難が続きます。そのことを忘れず、今年の年末にはまた2024年の振り返り記事を書きたいと思います。今後とも見守っていただければ幸いです。

最後に宣伝です。

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